お恥ずかしい話ですが、私は過去1度だけ債務整理をしたことがあります。
今回は実際に債務整理をしようか悩んでいる方に向けて、債務整理とはどんなものか、実体験を交えてお伝えしたいと思います。
債務整理とは
債務整理とは、借金を減額したり支払いに猶予をもたせることにより、借金のある生活から開放されるための手続きのことを言います。
債務整理には4種類あります。
- 過払い金請求
- 任意整理
- 個人民事再生
- 自己破産
1番の過払い金請求はデメリットもあまりなく進められます。下に行くにしたがって生活上のデメリットが大きくなってきます。
債務整理にはもちろんデメリットがつきものですが、メリットもあります。
ここからはそれぞれの整理の仕方によるメリット・デメリットをお伝えして行きたく思います。
過払い金請求とは
過払い金とは
過払い金請求についてお話する前に「過払い金」についてまずは説明したいと思います。
過払い金とは端的に言ってしまえば利息制限法の金利を超えて支払ってしまったお金のことを言います。
2007年以前の一部の貸金業者は金利を「利息制限法」ではなく「出資法」の金利を採用していました。
利息制限法の上限は20%。一方、出資法の上限は29.2%です。この9.2%の差はグレーゾーン金利と呼ばれています。
2006年1月に最高裁が「利息制限法の上限を超える金利は原則的に無効である」とする判決を出したため、多くの貸金業者が違法となりました。
過払い金とはこの「グレーゾーン金利」の分を言います。
そして過払い金請求とは「グレーゾーン金利で払いすぎたお金を返してください」と貸金業者に交渉することを言います。
過払い金請求のやり方
過払い金を請求するには利息引き直しの計算など煩雑な作業が生じます。
また、貸金業者との交渉も行う必要があります。
これらは個人でもできますが、先ほども書いたように煩雑な作業が生じる上、貸金業者は個人相手だと実際の過払い金よりも低い金額を提示してくるところもあります。
さらに書面でのやり取りも増えるため、家族にバレてしまう可能性もあります。
また、過払い金が140万円以上あった場合、弁護士なら回収できますが、司法書士に頼んだ場合は回収できません。
弁護士に依頼すれば、手数料はかかってしまいますが、手間がかからないこと、家族にバレにくいことがメリットとして上げられます。
私はいろいろ考えた挙げ句、弁護士事務所に依頼しました
過払い金請求のメリット・デメリット
まずは完済済みの方の過払い金請求のメリットとデメリットを比較していきましよう。
メリット | デメリット |
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払いすぎた利息が戻ってくる | 過払い金請求をした貸金業者からはその後借入ができなくなる |
これが一般的なメリットとデメリットになります。
もう二度と借金をしない!という意思があればデメリットも大したことはないはずです。
次に現在も借金中の方の場合のメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット |
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借金が減る | ブラックリストに載る |
払いすぎていた利息が戻ってくることにより、現在の借金が減るのは大きなメリットですね!
一方、デメリットの「ブラックリストに載る」ですが、これは実際には信用情報機関に事故情報が登録されることを指します。
信用情報機関に事故情報が登録されると、過払い金請求していない業者にも過払い金請求をしたことが知られてしまい、住宅ローンやカーローンの借入・クレジットカードの審査が通りにくくなりますが5〜10年程度で事故情報は削除されます。
なお、過払い金請求する場合、クレジットカードのキャッシングは過払い請求の対象にはなりますが、ショッピング枠は対象にはなりません。
また、過払い金請求には10年の時効があります。
最後の支払いから10年を越すと過払い金請求はできなくなってしまいます。完済済みの方は時効が成立する前に手続きを行う必要があります。
また、すでに倒産している貸金業者に過払い金請求をすることはできません。
任意整理とは
任意整理とは、過払い金請求をし借金を減額した上でそれでもまだ借金が残っている場合、その後の金利をカットし、元金のみを3年程度の分割で返済する内容の和解を貸金業者と結び、その内容に沿って返済を続けることで借金の整理をすることを言います。
後述する自己破産や個人民事再生等のデメリットを避けながら、金利の引き直し計算や金利のカット等により、そのまま返済を続ける場合に比べて実際に返済する金額を減らすことができます。
返済は弁護士さん経由で貸金業者に返済するのが主流です
任意整理の和解交渉は弁護士や司法書士が代理人となって行います。
任意整理手続きで減額できるのは利息制限法で定められた利率より高い利息の借金のみになります。ショッピングやカーローン・住宅ローン等、利息制限法より低い金利の借金は減額できません。
ただし、これから支払う返済金の利息をカットしたり分割回数を増やし、月々の返済額を少なくできるというメリットがあります。
任意整理のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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弁護士等が代理人となって手続きを 進めるため、直接の催促が止まる | 信用情報機関に事故情報が登録され 5〜10年借入ができなくなる |
高い利息で借りていた場合は債務額が 減額される。過払い金が発生することも | 自己破産や個人民事再生に比べ整理後の 支払いが大変な場合もある |
手続きする業者を選べる | 任意整理に応じてくれない業者もある |
「手続きする業者を選べる」というのは、例えばカーローンのように、手続きをすることで商品を引き上げられてしまうものや勤務先からの借入のように、整理が難しいものを除外できるという意味になります。
私の場合は公共料金の引き落としに使っていたクレジットカードだけ手続きから除外してもらいました
任意整理が利用できる方・できない方
【利用できる方】
- 減額後の借金を3年程度で返済できる方
- 継続して収入を得る見込みのある方
【利用できない方】
- 3〜5年で完済できる見込みのない方(例:借入1,000万円に対し毎月10万しか返済できない等)
- 安定した収入がない方
任意整理は金利をカットし元金のみの返済をする代わりに決められた期間で返済しなければなりません。ですので、どちらも当然の理由となりますね。
個人民事再生とは
過払い金請求・任意整理は裁判所を通さずに進められますが、個人民事再生以降は裁判所を通して進められることになります。
個人民事再生とは、住宅や車等の財産を維持したまま、法律にのっとった形で大幅に減額された借金を原則として3年で分割して返済していく方法になります。
減額後の借金を完済すれば、再生計画の対象となった借金については原則として法律上返済する義務がなくなります。
後述する自己破産のように借金全額の返済義務がなくなるわけではありませんが、高額な財産(住宅等)が処分されたくない場合には個人民事再生が向いています。
なお、任意整理のように整理する業者を選ぶことはできません。例えば5社から借り入れがあった場合は5社全てが対象となります。また、親戚や知人からの借金も減額されることになります。
個人民事再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。
【小規模個人再生とは】
小規模個人再生は、住宅ローン以外の借金の総額が5,000万円以下で、継続して収入を得る見込みがある個人が利用できる手続きです。
原則として3年間で(1)法律で定められた最低弁済額か(2)保有している財産の合計金額のいずれか多い方の金額を最低限返済していく必要があります。
また、再生計画が裁判所に認められるためには債権者の数の1/2以上の反対がなく、且つ反対した債権者の債権額の合計が全債権額の1/2を超えていないことが必要となってきます。
【給与所得者等再生とは】
給与所得者等再生は、小規模個人再生を利用できる人のうち、給与等の安定した収入があり、収入の変動幅が小さい人が利用できる手続きです。
小規模個人再生の(1)(2)の他、(3)可処分所得(収入から所得税などを控除し、政令で定められた生活費を差し引いた額)の2年分のうち、いずれか多い方の金額を最低限返済する必要があります。このため、一般的には小規模個人再生よりも返済額が高額になることがあります。
なお、貸金業者数の1/2以上及び債権額の1/2を超える反対がないこと、という要件はありません。
ただし、過去7年以内に自己破産したことがある場合は利用できません。
個人民事再生のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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弁護士等が代理人となって手続きを 進めることで貸金業者からの催促が止まる | 信用情報機関に個人民事再生手続を 取ったことが記載される |
任意整理に比べ、借金の大幅な減額が 期待できる | 官報に公告(掲載)される |
財産は処分せず、条件が整えば住宅を 手放さずに手続ができる | ― |
官報とは国が発行している新聞のようなものです。法律の改定等、国としての作用に関わる事柄の広報および公告をするために出されていますが、そこに個人民事再生及び自己破産をした人の名前が掲載されることになっています。
自己破産とは
自己破産とは、裁判所の手を借りて自分が保有する財産を清算し、借金を免除してもらう手続きのことを言います。
自己破産手続には「財産を現金に変えて債権者に返し」「残った借金を免除する」という二段階が含まれます。
自己破産をすると、原則として借金を支払う義務がなくなるため、借金に追われることなく収入を生活費に充てることができます。
ただし、税金や養育費などは免除にはなりません。
自己破産できる条件は、借金の額に関わらず、支払不能な時になります。極端な例ですが、借金が1,000万円ある場合でも返済能力があるとみなされれば自己破産はできません。一方借金が100万円でも職に就いていない等支払う能力がないとみなされた場合は自己破産と認められることになります。
自己破産のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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借金生活からの解放 | 財産は全て処分されてしまう |
取り立て等からの精神的な解放 | 信用情報機関に自己破産手続を 取ったことが記載される |
今後生活するために必要な一定の 財産・現金は残すことができる | 官報に掲載される |
― | 一部の仕事の資格に一定期間の 制限がかかる |
― | クレジットカードが使えなくなる |
最大のメリットは借金生活からの解放、の一言に尽きるでしょう。デメリットの方が多いですが、借金生活からの解放はそれを上回るメリットだと私は思います。
もちろんお世話にならない方が良いに越したことはないということは言うまでもありませんが。
終わりに
最初は返せる額を借りていたつもりが、いつの間にか膨れ上がりやがて自分の首を締めていく借金。
私は任意整理でなんとか助けてもらい、今はそれも払い終え借金生活から解放されました。
あれから怖くてカードも公共料金支払い用の1枚を除き、全部処分しました。もちろんキャッシングはできないようにして。
整理をしたのはもうだいぶ前ですが、未だに消費者金融会社のCMを見るとドキッとします。
今後も気を引き締めて、ローンなども組まないで済むように生活していきたいと思います。
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